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2017年6月16日

【チェルシー対談】サグラダファミリアは完成してもチェルシーハウスは完成しない

2014年4月のチェルシーハウス国分寺オープンから3年。
チェルシーハウスは今年3月に2棟目のチェルシーハウス荻窪をオープンしました。
今回は、チェルシーハウスプロジェクト発足時からハード・ソフトの両面で関わってきた
株式会社NESTRESTの石原潤さん(以下、敬称略)と、NPO法人NEWVERY理事長の小崎文恵さん(以下、敬称略)に改めてこのプロジェクトを振り返っていただきました。
 

「苦情受付」と「アウェーな空気感」からスタート

石原:転職直後、ちょうど物件の受注が決まったタイミングでプロジェクトの担当になりました。まだ「チェルシーハウス」というネーミングも決まっていない時期で。
とにかく4月のオープンに向けて、工事や家具の調達など慌ただしく動き、オープン直後は、苦情の受付係でした(笑)寮としての実績も何もないので、保護者からの苦情がすぐに不動産会社に来るんです。カーテンレールの不備など、あそこも、ここも…と。すぐに対応をして、顔が見えると少しずつ寮生に信頼してもらえるようになっていきました。
 
小崎:私がプロジェクトに関わり始めたのは、チェルシーハウスがオープンした3ヶ月後です。最初にチェルシーハウスに行った時に感じた印象は、「思っていたよりアウェーな空気だな」ということでした。まだ運営事務局への信頼があまりないのを感じたので、最初のうちは、なるべく時間を見つけてチェルシーハウスで仕事をするようにしていました。
そうすると寮生たちが少しずついろんな話をしてくれて。一緒に食事をしながら近況を教えてもらったり、エントリーシートの添削をしたり恋愛相談にものったり。そんな中で、寮生の考えていることや寮運営の課題も見えてきて、それを計画に落とし込んでいくということをしていました。
 

寮生自身がつくりあげる寮を目指して

小崎:チェルシーハウスは門限もないし、ハウスマスターも常駐していません。部屋は二人部屋で、男女共同で54名が生活しています。所属大学も様々です。設立当初から「自治」ということを意識してきましたが、どこまで寮生の自由に委ねるかというのは、事務局側としては最も気をつかうところです。
プロジェクトに関わった最初の頃、なるべく手を出しすぎないようにしようと考えていました。当時、「チェルシー会議」という寮の運営を寮生で考える会議がありました。元々は事務局主導で議論を進めていましたが、これは寮生たちに委ねるべきだなと思いました。そこで進行も含め、すべて寮生に任せる形に変えました。
最初は議論が堂々巡りで、18時にスタートした会議が24時まで続きました(笑)社会人の視点からすると、アドバイスしたくなる瞬間も沢山ありましたが、数時間ずっと聞き役に徹しました。ソワソワしましたが、今思えば口を出さなくて良かったなと思います。
なぜなら、彼らなりの哲学があると感じるからです。文句も含めて、夜な夜なチェルシーをどんな場所にするか議論できるってすごいことですよね。事務局としては、寮生たちの自治に委ねつつ「周りに見守っている大人たちがいる」という安心感が大切かなと思っています。
 
石原:あの堂々巡りのチェルシー会議、よく覚えています!
ここまで見守るのか…とある種、違和感を覚えながら私も同席していました(笑)当時、ハード面としては、設備改善をするためにも、現場の意見を吸い上げる必要があると思い、寮になるべく顔を出すようにしていきました。
その中で一つきっかけにしたのが、DIYの会です。ちょうど、武蔵野美術大学の学生も入居してきたので、彼にも協力してもらいました。最初に文机を作り、次にスタディルームの仕切りを作り、本棚や、最近ではゲストルームのリノベーションも行いました。意見の吸い上げ…と思って始めた会も、今ではすっかりチェルシーハウスのサークル活動として定着しましたね。
 
小崎:共同生活だから備品や設備を雑に扱う、という雰囲気にはしたくなかったんですよね。自分たちで作ったものなら愛着が湧くし、そこから、皆で使うものは大事にしようという気持ちも自然に持てるようになってほしいなと思っていたのでDIYの会はとてもよかったなと思っています。
 
 

DIYの会で行ったパウダールームのリノベーション

 

 DIYの会でたてもの園の見学にも行きました

 

コミュニティの成長とともに、

このプロジェクトに関わる意義を感じた3年間

小崎:この3年間でずいぶん、文化がつくられてきたなと思います。最近は、寮生企画のイベントもずいぶん多岐にわたるようになりました。POPCORNの映画上映や、ピザ窯づくりもそうですし、社会人メンターとして関わって下さっている社会人の方のお誘いで無農薬レモンの収穫に行ったりも。私たち事務局側でつくるイベントもありつつ、共存しながら進化しているな、という印象があります。

寮生主催で映画上映イベントを開催 

 

ウェルカムパーティの様子

 
石原:毎年、ウェルカムパーティを迎えるとホッとしますね。今年も無事にこの瞬間を迎えられたな、と。
寮内では、問題が発生しても、自分たちで解決してまとまるようになったなと思います。コミュニティとして皆が気持ちよく過ごすためのルールや一貫性の大切さが浸透してきていると感じます。
 
小崎:私は前職時代に、若者の転職支援をしていたのですが、「転勤がない仕事がいい」、「楽に働きたい」、「本当は〇〇をやりたかったけれど妥協して始めた仕事なので転職したい」といった相談がとても多かったんです。そんな若者を見ていて、学生時代に自分の将来や仕事についてもっと深く考えられるような機会が必要だと思っていました。
チェルシーハウスプロジェクトに関わることになり、まさに学生たちの視野を広げてあげられる仕事だな、と思いましたね。実際に、寮生活をきっかけに、先生志望だった学生が「世の中のことを教えるのに、世の中を知らないままでは教えられない。まず違う仕事を経験してから先生になる」と進路を変えたり、入居時に「留学行きたい」と言っていた寮生が実際に留学にチャレンジしている様子をみると嬉しいですね。
 
石原:私は元々、建築・不動産の専門スタッフとしてプロジェクトに参加しました。この業界の立場にいると、建物(ハコ)の立地やグレード、築年数など、スペックばかりに目が行ってしまいがちですが、実際は使う人達がその空間やモノを愛して使ってくれるかどうかで、ハコも全く変わってくるんですよね。
最終的に大事なのはコミュニティなんです。
まぁ、不動産会社に転職して、まさかこんなコミュニティ運営に関わることになるとは予想していませんでしたが(笑)このプロジェクトに関われて良かったと思います。近年、いろんなシェアハウスが増えていますが、この規模で、あれだけお互いに顔が分かっていて、コミュニケーションが活発な寮はなかなかないのではないかと思いますね。
 
 

日本の寮の先駆者的な存在でありたい

小崎:今後は、荻窪も新しくできたので、国分寺を経験した学生がそのノウハウを持って荻窪に住んでくれたらと思います。国分寺出身者が半分、新規の入居者が半分ぐらいのイメージで運営出来たら理想的だなと。チェルシーハウス国分寺の良さも活かしつつ、荻窪ならではの風土や面白さもつくっていきたいですね。
 
石原:寮内では、さらに自治を進めていきたいですね。募集も寮生たちでやったり、予算権限も一部だけでなく、全て寮生たちに渡すということも出来るようになったらいいなと思います。
 
小崎:チェルシーハウスは、完成しない寮ですね。サグラダファミリアのような。あ、サグラダファミリアは技術の進化で完成しそうですが(笑)
常に成長していく寮でありたいなと思います。日本の寮はまだまだ可能性があるし、もっと変わっていかなければならないと思っています。そんな時に、常に実験的なチャレンジをしていて、先駆者としてチェルシーの名前が挙がるような、そんな存在でありたいですね。
 

チェルシーハウスはNPO法人NEWVERYと株式会社NESTRESTによる共同運営事業です。
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